こちらへ来て二ヶ月が過ぎた。 来たときと比べると随分慣れた。 食生活がそうであるが、なんとか生きている。 最初の頃はとてもきつかったけれども慣れると(あきらめがついたともいえる) ある程度なんとかなるものだ。 それにしてもスゴイと思うのは フランコ、ジェルミー※、セバスチャン※だ。 西洋人にとって中国やアジアの料理はどのように見えるのだろうか? 彼等によく聞いてみると 美味しいものもあるにはあるが、ほとんどの場合 仕方なく食べているようだ。 もちろん我々にとっても食べられない西洋の食べ物がある。 臭い本場のチーズとか。 あるにはあるが一般的に食せる。 日本人ならカツオのだし、みそ、醤油等に代表される 味覚の基本というか、そういうものがあるけれど 彼等西洋人の場合、何なのだろうか? この宿舎にはアメリカの教師が住んでいるが フランコに聞いてみると どうやら欧州大陸の人間とアメリカ人とでは味覚が違うらしい。 具体的に聞いてみると アメリカ人はなんでもソースや調味料をぶっかけて食うらしい。 ケチャップなどがそうらしい。 セバスチャン曰く 「あれは邪道だ!」 炒めたジャガイモにケチャップは フランス人たるセバスチャンには邪道らしい。 彼は塩をふりかけて食べている。 それでこそジャガイモの味が楽しめるらしい。 フランコも食に困ってたとき アメリカ人教師達御用達のピザを食いに わざわざ市内まで出かけた。 このアメリカ人教師達が苦心して新規開拓したピザ屋で ピザを食った彼が帰宅した。 私が 「ピザ美味かったか?」と聞くと 開口一番、 「あれはピザとちゃうね。 少なくともスイスでは、あれはピザとは言えん。 あんなもん有り難く食うアメリカ人の気がしれない」と首をかしげて言いきった。 せっかく招待してもらっているのに 理不尽なことを言う理不尽大魔王フランコであったが 彼の食生活のメインは?といえば ナビスコのクッキーと2リットルのコーラかスプライト、 果物、野菜が少々であった。 もちろんフランコの頬がこけていったのは言うまでもない。(私も痩せたが・・・) 実際私達もつらいのはつらいのだけれど 幸いにも米がある。 選択肢がある分(彼等と比べて)まだましか。贅沢言ってもキリがない。 けど、つらいことには変わりはない。 どちらにしろ本気で、本腰を入れて生活するには 十分な薬と衣服、調味料をもって冷蔵庫を買い生活することでしょう。 それだけの金銭的余裕があると、なんとかやっていけるでしょう。 ※ジェルミー、セバスチャン・・・ 同じ漢語入門班の留学生。フランス人。 ジェルミーはマルセイユ出身、20歳。セバスチャンはトゥールーズ出身で22歳。 セバスチャンはフランスから日本の静岡で3ヶ月ほど留学した後、大連にやってきた変節者。 しかし何で静岡なんだ? 意外と日本のアニメについてよく知っていた。 アラレちゃんやドラゴンボールなど知っていた。外向的な性格で、あちこち顔を出していた。 成績優秀で、フランス語、英語、日本語、中国語を駆使するその脳みそに感嘆した。 おかんが学校の先生をしているらしい。 能力は遺伝しているのかどうかよくわからないが賢かった。 ジェルミーはセバスチャンと比べると内向的であるが、なかなかお茶目でおもしろい青年だった。 母子家庭で苦しい経済事情のなか、こちらでの生活を送っていた。 顔はアランドロン系なのだが 時に大ボケをかましているのか天然ボケか、 よくわからんボケをかまし、我がクラス連中を笑わす人気者であった。 あるときこういうことがあった。 私が部屋で休んでいるとジェルミーがやってきた。 フランコを尋ねてやってきたのであるが、フランコは外出中であることを告げると ジェルミーはこう言った。 「シンチーリュィー(星期日)の部屋で待っているとフランコに伝えてくれ」 とっさに私は 「シンチーリュィー?(何言うとるねん??)」と言うと ジェルミーは私がシンチーリュィーの意味がわからないと理解したらしく 以下の説明を子供に諭すかのようにし始めた。 「えっ シンチーリュィー 知らん?! シンチーリュィーはな・・・・」と手振りで 教室の席次を説明し始めた。 ここはジェルミー、私がいつも座っている席、その右がセバスチャン そしてその右がシャオティエンと両手を使い説明し始める。 そのシャオティエンの隣がシンチーリュィーやろ。どやわかったか?」とこうである。 すぐにジェルミーの間違いが分かった私は (シャオティエンの隣はジンシャングイ(韓国人)だったので) 「シャオティエンの隣はジンシャングイやろ〜」と指摘した。 ジェルミーは一瞬「・・・ ◎☆◇▼・・!?・・・」と固まったが ニコリと笑い 「ハハハハ・・・、そうそうジンシャングイ、ジンシャングイ」 「・・・(そう)やろ。シンチーリュィーはSunday、MondayのSundayや」と私。 「あぁ〜そうやった。ゴメンゴメン」とジェルミー。 ジンシャングイの部屋で遊んでおきながら その部屋の主人の名前をシンチーリュィーと大まじめな顔で間違えている ・・・と、こういうボケをかますジェルミーであった。 後日談: 前回のメモから約一ヶ月経過。書いている内容は食事のこと。 毎日のことだけに、それだけ身近なことで色々と試行錯誤してました。 ただ私は中国で生活するのだから 日本と同じ生活スタイルというのではなく 庶民や学生の生活レベルに近い形で留学生活を送ろうと考えていました。 せっかくの機会であるし・・・。 結果として だいたい二ヶ月弱で約80kg程あった体重が67kg前後まで減りました。 いわゆる運動らしい運動はなしです。 これで思ったのは、これまで 日本での生活がいかに贅沢か?必要以上のものを食べていたのか!と感じました。 (日本で)働いていると接待で酒を飲んだり、脂っこいものを食べてる割に 休みの日に運動らしい運動もせず、日々暮らしていました。 本当に腹が減ったという実感があまりないのに 時間がきたので(昼飯を)食べるというような生活を 当たり前のようにしていました。 仕事上のストレス、憂さを発散するために酒を飲んでました。 やがて肥えすぎと運動不足による脂肪肝になってしまいました。 今にして思えばなるべくしてなったような気がします。 安くて美味しいものがあまり身近になかったこともあり 本当に心の底から湧き出てくるような (腹へったぁっっ・・・)という思いがでない限り、口にしませんでした。 もっぱらカロリー0のブラックコーヒーと紅茶、ウーロン茶など 飲んで生活してました。 そんな状態で生活できるのか?と思われる方がいらっしゃるかもしれません。 お答えします。 「デキマス!」 ダイエットで10〜20万円も使うくらいなら 私は中国での短期留学をお勧めします。 ただし一ヶ月か一ヶ月半という時間が必要ですが・・・。 少々無理しなくても 出費を抑えた食生活を心がければ、できます。 それほど強い意志は必要ありません。 環境がそうさせてくれます。有無を言わせず・・・。 食べたい!と思えるようなものが(低価格では)少ない環境なので 環境を変えるというより自分の意識、習慣を変えるという作業を経験することによって 意識することなくダイエットに成功するものと思います。 平均体重をオーバーしている方なら 個人差はあれ、だいたい成功するでしょう。 ま、それはともかく ほとんどの留学生は自炊をしていました。 それなりの調理器具とやる気があれば十分に生活できます。 大連理工大学の留学生寮には各階に共同炊事場と共同冷蔵庫があります。 共同だけに思うように使えないのが残念ですが なかには(韓国人留学生、夫婦でした)自分の部屋に 冷蔵庫と洗濯機を買って使用している新婚リッチカップルもおりました。 ものは考えようですが なければないで、困れば困るほど 人間なにがしかの方法を考えるもので そういう意味ではずいぶん知恵がつきました。(笑) 頭を使う機会が増えました。 王老師などは「冷蔵庫などいらない!」と 物質文明、消費生活を唾棄しており、そのときは やせ我慢をしているのかな?うそぶいてるのかな?と思いましたが よく考えてみると 私の両親の若い頃には冷蔵庫などあるはずもなく、 冷蔵庫のない暮らしが普通というか 当たり前の生活でした。 私は冷蔵庫のある生活で育ってきたため 冷蔵庫のない生活に接すると不便を感じる (保存などどうしていいかわからないため)のですが なければないで、生活できる方法を考えるものです。 だからそういう中国を見て 「遅れている、不潔、臭い」と思うのも勝手ですが それがすぐに「だから日本の方がいい」と早合点するのもどうかと思います。 こういう生活もできるものだと関心をもって見つめたら 楽しい留学生活が過ごせると思います。 |
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